ミステリーには様々なジャンルがありますが、今回は青柳碧人さんの小説から一風変わった作品を2種類紹介します。
- 『浜村渚の計算ノート』シリーズ
- 『むかしむかしあるところに、死体がありました。』
おすすめ作品
『浜村渚の計算ノート』シリーズ
『浜村渚の計算ノート』シリーズは数学をテーマにしている作品になります。
理系ミステリーの作品は数々ありますが、数学に特化したミステリーはあまりないのではないでしょうか。
本作は、教育から数学が軽視された世界で、そんな施策を行った国に対し数学者・高木源一郎を中心としたテロ組織・黒い三角定規が反逆を行います。
そこで、黒い三角定規への対抗手段として中学2年生の浜村渚が指名されたのです。
構成は短編集になっていますが、各話は四色問題やフィボナッチ数列など数学をテーマにした内容になっています。
こう見ると読みにくいと感じるかもしれませんが、浜村渚に協力する警察関係者には数学に苦手な人がおり、テーマになっている数学用語に関して彼らに説明する形で解説が入ります。
また、主人公の浜村渚は数学が大好きなこと以外は普通の中学生であり、他作品の探偵とは異質のキャラクターになっています。
その雰囲気は小説の表紙を見ていただけるとイメージできると思います。
この点においても異色のミステリーともいえます。
『むかしむかしあるところに、死体がありました。』
最大の特徴は昔話をテーマにしている作品だということです。
短編小説となっており、一寸法師や鶴の恩返しなどをベースとして事件が起こります。
特徴は現実では起こりえないトリックを使っているところにあります。
例えば、密室殺人が発生して腕一本しか入らない窓しか開いていないとなればそこからは侵入はできないとなりますが、一寸法師の話であれば通ることができます。
地面に足跡がないから不可能犯罪だとなっても人間が鶴の変身した姿となれば飛んでいくことができます。
そんなファンタジー要素が強い作品ですが、トリックや動機は世界観を生かした本格的なものとなっており、ミステリーとしても十分満足できる内容となっています。
浦島太郎をテーマにした密室殺人があるのですが、密室であることを説明するのに竜宮城の構造を詳しく説明したり見取り図があったのは笑ってしまいました。
浦島太郎の話はいろんなところで聞くことはありますが、竜宮城の中を知ることができるのはおそらくここだけでしょう。(あくまでフィクションではありますが)
まとめ
今回は青柳碧人さんのちょっと変わった小説を2つ紹介しました。
本格推理ものを読んだ後にちょっと違ったものを探している人はこんかい紹介した作品を読んでみると違った刺激があって良いかと思います。
こういった作品に触れることで推理小説の幅の広さといろんな可能性があることを知ることができました。
また、変わった推理小説が集まったら紹介してみようと思います。
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